高血圧の原因は独身・一人暮らし!?エビデンスに基づく要因と予防策

高血圧の原因は独身・一人暮らし!?エビデンスに基づく要因と予防策

高血圧は脳卒中や心筋梗塞などの危険因子としてよく知られています。

今では、家庭でも日常的に手軽に測定できる血圧計が市販されていて、「朝起きたら測定」を日課にされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

血圧は病気予防または早期発見の貴重な体の情報です。

今回は、血圧の基準値と、これまでの研究で秋からかになっている高血圧のリスク因子をまとめました。

注意
タイトルには「原因」とありますが、ここではあくまでも高血圧に関連する「要因・誘因・因子」をご紹介します

血圧を測定する理由の1つは高血圧の判断

多くの方が、年に一度の健康診断の時に、血圧の測定をされていると思います。

もちろん、家庭用の血圧計で毎日測っている方もいらっしゃると思います。

血圧が健診の時に必ず測定項目となるのには理由があります。

なぜかというと、それはもちろん病気の予防と早期発見のためですよね。

血圧は測定が簡単で、血液に関連するいろんな病気の発見の指標なのです。

高血圧の基準

血圧は正常の範囲と低血圧・高血圧の範囲と3つの段階にわかれます。

正常なら何も問題ありませんが、低血圧または高血圧の場合は、それ自体が病気のリスクであるか、隠れた別の病気の症状の1つというケースもありえます。

今回は高血圧の基準値を記します。

出典:日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 一般向け「高血圧治療ガイドライン」解説冊子

つまり、「問題なし」とされる血圧が、

  • 至適血圧:上120未満かつ下80未満
  • 正常血圧:上120~129かつ・または下80~84
  • 正常高値血圧:上130~139かつ・または下85~89

このようになっていて、「高血圧」はそれぞれの数値がこれより大きい場合。

低血圧は逆ですが、起立性低血圧の場合は、起立した前後の血圧を比べてその差が先ほどの「低下」の数値

ちなみに、至適血圧(してきけつあつ)とは、理想の適した血圧という意味です。

高血圧は注目度の高い病気の指標

高血圧は、実は内科の診療で最も多い病気です。

そして、血圧は年齢を重ねるごとに値が高くなっていくため、高齢になるにつれて「高血圧」になりやすいことがわかっています。

つまり、高齢化が深刻な日本において、高血圧になる人の数は今後もさらに増加することが懸念されているのです。

高血圧は、ふつうそれ自体が命に関わったりするものではありません。

でも、高血圧の患者が起こしやすい病気が、命に係わるものばかりであることが多いというのがわかっています。

どういう病気のリスクになるのかというと…

高血圧が要因になる病気
  • 脳出血
  • 脳梗塞
  • 脳虚血
  • 左室肥大
  • 心不全
  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • たんぱく尿
  • 腎不全
  • 大動脈瘤
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 認知症(賛否両論)

高血圧は動脈硬化を進めるので、脳・心臓・腎臓などの機能に障害をもたらす要因になるのです。

これらはすべて、科学的根拠のある、つまりちゃんと研究によって証明されていること。

また、ある研究では死亡率の高さが急激に上がる血圧の値も明らかになりました。

それが、

  • 収縮期血圧:140以上
  • 拡張期血圧:90以上

です。

さきほど、「高血圧の基準値」の項目でお話ししましたが、この研究結果が、高血圧の指標として厚生労働省で使われるようになったのです。

なお、収縮期血圧140以上、拡張期血圧90以上の人は、血圧を下げる薬を飲むことによって、合併症や死亡率を下げることができることもわかっています。

厚生労働省の調査結果からは、高血圧患者は約3,400万人。

だいたい国民の4人に1人は該当する計算になります。

高齢に限るとその割合はもっと多いでしょう。

だから、高血圧そのものに可能な限りならないようにすることで、国民全体の寿命を延ばすことにつながるでしょう。

家でも血圧を測ったほうがいい理由

自宅でも血圧を測定したほうがいいわけがあります。

自宅で測定する時間は、起床後1時間以内がすすめられています。

それはなぜか!

血圧というのは、体温と同じで1日のうちでも数値が変動します。

これは1日の血圧の変動の一例ですが、上の血圧・下の血圧共に早朝が一番低くてお昼すぎに1日のうちで最も高くなります。

出典:welby 「朝と夜で血圧が変化!?~心筋梗塞、脳卒中のリスクが高まる「早朝高血圧」の変化を測定しよう~」

さらに、普段と違う環境で受ける健診では緊張したりもするので、測った値も、本当は測りたい日常での値とは変わってしまうことも多いです。

だから、予防・早期発見の質を上げるためには、家でリラックスした状態で測定することが理想なのです。

それから、健診でだけで測定されている方はぜひ知っておいていただきたい。

日中は正常な値でも、早朝起きた後に急に急上昇するケースがあるということ。

イメージはこんなかんじです。

出典:welby 「朝と夜で血圧が変化!?~心筋梗塞、脳卒中のリスクが高まる「早朝高血圧」の変化を測定しよう~」

この、早朝にポーンと値が上昇することは、「早朝高血圧」とよんで近年問題視されるようになりました。

朝に血圧が高い人というのは、

  • 起床後1時間以内に心筋梗塞を起こしやすい
  • 起床後2時間以内に脳卒中を起こしやすい

といったリスクが、血圧が正常の人と比べてとても高いことがわかっているのです。

健診は早朝には受けませんよね。

これが、自宅でも血圧測定を習慣づけたほうがいい理由です。

だから、健診結果では「正常」でも、いわゆる「隠れ高血圧」が潜んでいる可能性がゼロではないということ。

血圧計はあるけど習慣的に測ることはないとか、いつ測れば良いかわからないという方、測定時間はせいぜい1分程度でしょう。

めんどうなのはほとんど気持ちだけのはずなので、ひと手間かけて毎日測定してみてはいかがでしょうか。

家庭で測定する際のポイント

こちらに、家で測定する際のポイントをご紹介しましょう。

日本高血圧学会のガイドラインによるものです。

朝測定する場合
  • 起床後1時間以内
  • 排尿後
  • 坐位1~2分安静
  • 服薬前
  • 朝食前
夜測定する場合
  • 就寝前
  • 坐位1~2分安静

お話ししたとおり、家庭で測定する値が一番自分のいつものリラックスした状態に近いです。

つまり、家庭で測る血圧は、ふつうは病院や健診センターなどで測る値よりも低く出ます。

どのくらい低いかというと、だいたい平均して5~10mmHg程度といわれています。

そのため、もしあなたが高血圧だった場合、家庭で測定した値を治療の目標値にするとしたら、高血圧のボーダーは、少し低めの135/85mmHg以上となります。

続いて、血圧計の選び方について。

血圧は体のいろいろな部位で測定できるよう、手首や指・腕など種類がたくさんあります。

国立循環器病研究センターによると、おすすめは上腕用のタイプ

手首や指で測定できるタイプは精度があまり高くないのです。

予防の際や、高血圧治療のための薬(降圧剤)を飲んでいる方は、日々の家庭での測定で、ご自身の血圧の変動を把握されると良いと思います。

高血圧のリスク因子

高血圧は、隠れ高血圧や一般にも知れているたくさんの病気のリスクがあります。

でもそれを知っていても、肝心の血圧を正常値に保つ方法を知らないと何の予防にもなりません。

高血圧になりやすい生活習慣を知っておくことで、もしも値が高くなった時の改善方法として、または予防のため意識をもつポイントなどが自己管理できますよね。

高血圧には、病気が原因ではなく、普段の生活習慣やもともとの遺伝的体質によっておこる一次性高血圧と、病気が原因の二次性高血圧と二種類あります。

生活習慣の不摂生が高血圧を招くのはなんとなくご想像いただけると思います。

また遺伝的体質による高血圧というのもあって、親が高血圧の子供は高血圧になる確率が高くなります。

その確率は、

  • 両親が2人とも高血圧なら1/2の確率で子供も高血圧になる
  • どちらか片方だけが高血圧なら1/3の確率で子供も高血圧になる
  • どちらとも高血圧でない場合は、1/20の確率で子供が高血圧になる

と、このように、両親が高血圧か否かによって、その子供が高血圧になっている割合がそれぞれ計算されて明らかになっています。

ただ、高血圧は環境的な要因が多くを占めるともいわれ、遺伝的要因は「それだけが原因ではない」ケースがほとんどです。

たとえば、親が高血圧ということは、その家庭での食生活や運動の習慣などは、高血圧を招きやすいものなのでしょう。

このあとご紹介しますが、高血圧の因子であるコレステロールの高さとかアルコールとか肥満とか、それらは独立した原因ではなくて、

「アルコールをたくさん飲む時に食べるものが濃いものばかりでコレステロールが高くなり、肥満につながっている」

という場合が多くて、複数の要因が同時に発生しているといえますよね。

だから、正直どの要因が強く影響しているとか、メカニズムがどうなっているとかははっきりと解明されてはいないのです。

そのことを念頭に置いていただいたうえで、高血圧のリスク因子でわかっているものと、リスク因子を明らかにするための研究方法についてお話ししましょう。

病気のリスクを証明する研究方法について

これまで、高血圧のリスク因子はさまざまな研究で明らかになってきました。

高血圧に限りませんが、病気と生活習慣の関連というのは、いろんな研究で調べることができます。

研究領域でその方法となるものは、健康診断と問診のデータを使った疫学研究です。

疫学については特に知らなくても問題ありません。

簡単にいうと、人の病気のメカニズムまではいかないが、要因となるものを、その病気の患者さんと患者の生活習慣や健康診断の結果などから解析して、予防手段を確立する学問です。

たとえば「喫煙は肺がんのリスクを高める」ことについて説明すると、

肺がん患者と肺がん患者の生活習慣とを解析してみたら、どうも喫煙する人ほど肺がんになっとるということがわかった。

なぜ喫煙が肺がんのリスクになるのか、そのメカニズムはわからないが、喫煙をやめることで肺がん患者は確実に減らすことができます。

疫学とはそういった、ひとまずの予防線を張る学問として私達の生活になくてはならないもの。

そして、もしもあなたが健康に関する情報収集をしたり、学術文献を読む機会がある方はぜひ知っていただきたい。

信頼性の高い研究というのは、

  • 有名な雑誌に掲載されている論文
  • 対象にしている人の数が多いこと(何千人の村や町単位での研究・全国から何千人規模を選んでいる研究)
  • データの測定方法が主観的ではないもの

このへんでしょう。

健康診断のデータは問題なし、個人の病気の情報は、本人の記憶による問診ではなく病院のカルテなんかの「絶対に誤りや抜けがない情報」であることが研究の質を高めます。

これまででわかっているリスク因子

さてでは、疫学研究で高血圧のリスク因子になったものは何でしょうか。

もうそんなの当たり前に知っているわという方も、これらがちゃんと苦労して調査して得られた科学的根拠のある要因だということを知っていただきたい。

これまでに明らかになった高血圧になる要因
  • 肥満(カロリーのとりすぎ・運動不足)
  • アルコール
  • 高インスリン血症(インスリン抵抗性)
  • 食塩のとりすぎ
  • マグネシウム・たんぱく質の不足
  • 年齢
  • 喫煙
  • 心胸郭比
  • 総コレステロール
  • 糖尿病
  • 精神的なストレス
  • 自律神経の調節異常
  • 睡眠障害
  • 運動不足

これらが、ガイドラインや国立の研究センターなどが紹介する記事や科学論文に掲載されている高血圧に関連する因子です。

ほかにもあるかもしれませんが、ざっと文献から探したところ、このあたりが共通してくるところです。

新たにわかったリスク因子

そして、2018年に新たな高血圧のリスク因子が明らかになりました。

それがこちら。

新たにわかった高血圧のリスク因子
  • 独身かつ一人暮らし
  • BMIが高いこと

まぁ想像力のある方はどちらもご納得かと思います。

思いますが、研究でちゃんとそれが証明されたのが今年に入ってからだったということ。

独身・一人暮らしの生活というのは、自分ひとりの自己管理だけで済むため、なかなか食事や運動などの生活習慣を、”わざわざ自分ひとりのために”、規則正しく律しようという気は起きにくいものです。

それが例えば結婚したり子供ができたりとなると、「今日はめんどうだからインスタント・ファストフードでおわりっ!」とはいかず、相方や家族のために、食事の内容を意識してみたりするでしょう。

そのへんの環境的な要因が独身・一人暮らしの方とそうでない方とでわかれてくるのが背景的な理由なのではないでしょうか。

もちろん、独身で一人暮らしをされている方でも、健康管理がしっかりされている方はたくさんいます。

また、BMIが高いことが高血圧のリスク因子、これは、すでに明らかになっているリスクである肥満からイメージが湧くことでしょう。

いずれも、統計上はこのような結果になったよということですが、もしも当てはまるという方は、ぜひ今後の生活習慣を少し改めてみてはいかがでしょうか。

高血圧を日常的に予防する方法

高血圧は自覚症状がほとんどなく、ふつう気づかないことがほとんどなので、まずは血圧を意識することからがスタートラインになります。

そして、正常値の方は高血圧にならないように、高血圧だった方は少しでも値が下がるよう、日常的な対策を取り入れましょう。

高血圧治療ガイドライン推奨の生活レベルの改善法

日本高血圧学会が出している高血圧治療ガイドラインでおすすめしている改善方法、正確には、病院にかかった患者さんへの改善指導の方法を転記しましょう。

高血圧治療の改善指導
  • 塩分摂取量 6 g/日未満を目標とする
  • 塩分の摂取目標だけでなく、味覚・塩分量・栄養状態を把握して、具体的な減塩の方法を助言する
  • 軽度の有酸素運動(通常の速さでの歩行など)をすすめる
  • 運動をすすめるにあたっては、運動に伴う転倒や関節障害・心負荷増大についても患者の状態に応じて指導する
  • 肥満者に対しては適正体重を目指すよう促す
  • 肥満者への助言にあたっては、急激な減量は避けて個別に長期的な無理のない減量を行うよう指導する
  • 中等量以上のアルコールを日常的に飲む患者には節酒を促す
  • 喫煙者には禁煙を指導する

生活習慣の改善は容易なことではなありませんが、高血圧を改善するための直接的な方法として8つご紹介しました。

ただ、極端な改善行動は逆に本人のQOLを低下させることが心配されます。

だから適度なアプローチでそれぞれに応じた対策の程度を提案することが必要になってきます。

とはいえ、もっとも大事なのは塩分を減らすこと

塩分を減らす具体的な方法はこちら。

塩分を減らす具体的な方法
  • 醤油・ソースなど塩分がたくさん入っている調味料はできるだけ控える
  • 漬け物をたくさん食べる人は1回の量を減らす
  • 味噌汁を1日に2杯以上のむ人も、1回の量を減らす
  • ラーメンなど麺類の汁を全部飲まない。*1日の塩分摂取目標が7~10g程度なのに、ラーメンのスープだけで10g近い塩分をとってしまう
  • 野菜をたくさん食べてカリウムを摂取して、塩分を排泄しやすくする

また、

血圧を下げる具体的な方法
  • 血管を丈夫にするためにタンパク質・カルシウムを食べる
  • 1週間にほぼ毎日、30分以上の運動を目標とする
  • 10分以上の運動なら合計して1日30分以上としてもOK

このへんも、高血圧を予防・改善できることが証明されているもの。

運動療法については、具体的な方法は、

運動療法の具体的な方法
  • 軽いジョギング
  • 水中運動
  • 自転車
  • レクリエーションスポーツ

このような有酸素運動が良いとのこと。

全員が全員改善効果があるかといったら100%ではありませんが、これらは全て研究によって予防効果&値の減少効果があったものです。

生活レベルの改善でも治らない患者には

病院に行っても行かなくても、上記に書いた日常の習慣を変えることが予防や改善につながることはお話ししました。

ここからは、高血圧の患者さんで「上記の方法を試した。それでも改善しない!」という方へのアプローチについて。

第2段階は、薬(降圧薬)を飲んで血圧を抑える方法がとられます。

私も研究に必要なデータ収集のため、ご高齢の方の健康診断に出向くことがありますが、降圧剤を服用されている方はかなり多いです。

ただ知っておいていただきたのが、降圧薬は、高血圧そのものを根本的な原因を除去するものではないということ。

イメージ的にはサプリメントが近いでしょうか。

たとえば、血管を拡げて血圧を下げたり、尿が出やすいようにして血圧を下げたり、そういう働きをするのです。

もちろん降圧薬はちゃんと効果があることがわかっていて、飲んで治療することで、

  • 脳卒中
  • 心筋梗塞・心不全
  • 腎不全
  • 認知症
  • 全死亡率

これらの病気のリスクが格段に減少することがわかっています。

だからといって飲み続けるのは嫌だわぁと思われる方も多いでしょう。

それについては、一生飲み続けなくとも、降圧薬で血圧を抑えつつ生活習慣を改善することで、薬を飲まなくても血圧を安定させることができるようになれば服薬はおしまい!

高血圧の状態を改善する段階においてのサポートの1つという位置づけで考えていただければ良いでしょう。

なお、降圧薬の副作用についてもご心配なく。

これまでの報告では、副作用で重たい症状は出ないとのこと。

もし出ても、薬をやめればすぐにおさまるそうです。

高血圧治療で服薬が必要な方は、飲む・飲まないで悩むのはもっての外。

飲まないことによる重大な病気のリスクを減らすことのほうが重要です。

以上、治療についてはここまで。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

高血圧については他のウェブサイトやクリニック・病院のサイトも含めて、たくさんの情報があります。

どの記事もだいたい同じことが書かれていますが、それが執筆者の経験則によるものなのか、転載したものなのか、なんだかイマイチ根拠のある情報なのかどうかが判断できません。

こちらでは、学術文献・専門の研究センターなどが配信している情報のみで構成し、正しい高血圧の情報だけをまとめてみました。

自分で執筆しておきながら私には毎日血圧を測定する習慣がありませんが…

これを機にまずは血圧計を買ってみようかしら…

ご高齢のご家族が近くにおられる方はぜひ何かのきっかけに血圧計をプレゼントされてみてもいいかもしれまんせんね。

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